三十幾重の夏

三十歳過ぎた辺りから、はっきりとした記憶がない。

漫然と日々を過ごしてきた。

パンデミックがあり、日常に変化を起こす事が困難であった事を差し引いても、ちょっと。

記憶がないというより、座標を上手く認識出来ていないという方が良いか。

なんにせよ歳をとり、今日も仕事であるという事実だけが、眼前に横たわっている。