水泡

この仕事だけはやりきれたな、と思っていたものが、完全に意味のないものになっていた。

組織なのだから仕方ないと言われたらそれまでだが。

一人立ちさせるまでの流れを考えて、なんとか引き継げたのに、最後はこれだ。

後釜を作れた事で、無理矢理自分を納得させていた。

上の世代から教えられて、次に渡したものは、ここで終わり。水の泡。

自分なりに責任感をもってやってきた事は全てが無駄になり、否定された気分。

実際は何もなし得ていなかったのだ。

思い知らされて、居たたまれなくて、あの場所から去る事を決めた。