部署異動しただけなのだが、久々に退職した時と同じ気分を味わっている。
一つ区切りがついた。
金曜日までの自分は一瞬で過去となり、感傷は解放感へと変換された。
春の夜の匂いは、深夜バイトの帰り道を思い出す。
夏の匂いでも思い出しているけれど。
未だにバイト時代の心情が、そこそこの幅を利かせている。
戸締まりして店を出てお疲れ様でしたーと言えば、その度に気分をリセット出来ていたような気がする。
毎日嫌だ嫌だと言ってはいたけれど。
正社員として働くと仕事が点ではなく線となり、気持ちを切り替えていく事は難しい。
自分のやり方一つで、あの頃の退勤した後の空気をまた吸えないものか。
最終的に線になればいいのであって、一日一日の認識を点に戻す事は可能ではないか。
一応新しい環境なので不安はある。
変化に乏しい生活を送っていたので、それくらいの不安は楽しみたい。
事務は一、二ヶ月でどうにかものにしたい。
その為に一度初心にかえる。
20代の頃を思い出して、手帳を新調した。
十年余りの間にろくでもない環境の中で身に付けた、小手先の技術をどのように応用出来るか。
過程を楽しめるくらいの余裕を作りたい。
落ち着いたら、引っ越して新しい生活を始める。
来年以降に向けての活動も始める。
環境が変わる春には、そういう前向きさがある。
何も変わらない年の春は、残酷そのものであるが。