さよならを言うには遅すぎる

まだ走れるのに云々と抜かしていたにも関わらず、車の買い換えを決断した。
車検とそれに係る修理代がいよいよ中古車一台分くらいになりそうなので。
今まで大きな故障もなく、不満はほとんど無い。
二十万キロを突破したあたりから各種警告灯の点灯・消耗品の劣化による交換が相次ぎ、交換するほどではなくとも気になる点が出始めた。
都合十数年乗ったので愛着と思い出(大半はロクなものではないが)があり、買い換えの嬉しさよりも寂しさの方が圧倒的に大きい。
今は亡き我が家の愛犬もこの車に乗っていたな、とか。
学生時代のバイトにもこの車で通っていた。退勤後に立ち寄る深夜のコンビニの駐車場の静寂、煙草の匂い。
社会人になってからは帰り道にカーラジオからあの曲が流れていたな、とか。
この子を手放すことで思い出せなくなる事柄もあるのではないか。
自分で決めたのに寂しくなった。