沢山の昔

仕事で電話越しに怒鳴られて久々に後を引くタイプの嫌な気分を味わった。
くそったれ。気に入らないならさっさと他所へ行けよ。
心底嫌になる。

昔話を聞くのは嫌いじゃない。

あの男だけはもう無理だ。
薄っぺらい面の向こうに都合の悪いものを全部隠して。
顔を見たくないし、声を聞きたくない。

どんな事があっても、息の続く限りは生きていかなければならない。
そこから逃避した奴に優しくできるほどに出来た人間ではなかった。