弐拾四の瞳

午前中厄払い。
夕方から祭事で母の実家へ。久々に親戚が多く集まった。

何があったわけでもないがどこか蟠りがあった従兄と普通に話せて嬉しかった。
小学3年生くらいまでは、会う度に後ろにくっついて行っていたのだが、あまりに会わない期間が長かったので接し方が分からなくなっていた時期があった。
伯父さんと話をできたことも嬉しかった。いつも目を掛けてくれる。
自分でもよく分からない僕の本質的な部分を見てくれているのはあの伯父だけだと思う。

一番世話になっている従兄弟は彼女を連れてきていたが、どうせだからもっと仲良くしてる所を見せたかったと言われ胸が痛む。
親父の事だ。叔父さんからも言われた。
外から見ればそういう事なんだろう。僕も沢山悪い所がある。
それでも上の者は立ててやってきた。旧時代の空気を引きずっている田舎だから、家の中のそういう部分には敏感であり続ける必要があった。
我慢できない事もある。それでも我慢した。
鎹として繋ぎとめることが役目であると思っていた。20年。
自分が偉いとも可哀想だとも思わないし思われたくも無い。
ただもう皆いい大人なのだから、フォローの役目を俺は放棄するよ、という意思を表示した。
皆我慢してやり続けることなのかもしれない。僕が辛抱の足りない若造なだけかもしれない。
私的な人間関係の中で自分を犠牲にしてまで許容できないものの為に動く事ができなくなった。
それでいいと思った。少なくとも自分の中では正しいのだと。
誰にも迷惑はかけていない。親父が迷惑行為を働こうともう俺に止める気はないし止められない、と。
そんな意思表示と何もしないという行動が、僕の中でとても大切な人達に不快感を与えてしまっていたのだ。
恐らくは僕を諌める意味合いを込めての言葉だったのだろうが、事実は変わらない。
事を放棄し逃げに転じた事により不愉快な思いをさせてしまった。
従兄弟には本音が出てしまった。
ただ申し訳無い。彼にだけは嫌な思いをさせたくなかった。
かと言って状況を好転させる手立てが見つけられない。許容の限界を超えたからこういう事態になっている。